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【ヤフオク!】実際にあったネットトラブル解決!交渉力をつける方法!【ケース2】Part.2

どうも、SAIです。

 

この記事は以下の記事の続きです。

  

takugai.hatenablog.com

 

実際にあったとんでもないネットトラブル

 

「ケース2:ノークレーム・ノーリターンの罠」続き

 

では、前回の記事の続きです。

本ケースでの争点は【商品詳細の説明不備によるNN特約の有効性の有無】です。

以下の興味深い判例を元に照らし合わせいきます。

インターネッ トを利用したオークションにより被告が出品していた中古の普通乗用自動車 の入札に参加,同商品を落札し,その後原被告間の売買取引で購入した同中 古車(車種はアルファロメオ164,以下「本件車両」という。)に損傷があ ることを前提に,これが民法570条の「瑕疵」に当たると主張して,同条 に基づき,被告に対して損害賠償を求めたという事案 

引用元:http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/130917shiryo4-4.pdf

 

◎本ケース両者主張と条件の確認◎

 

先方の主張:「ジャンク品は理解していたが、ここまでひどい状況だとは思わなかった。ちゃんと記載していれば買わなかったかもしれない」

友人の主張:「画像も載せていたし、ジャンク品として出品し、いかなる理由もNNであると記載しているので、先方の主張と評価は納得できない」

 

■条件①金額も相場より2,000円ほど安く手に入ったと思われるので、先方としてもある程度の破損などは納得した上での購入であったと予想

■条件②しいて言えば第三者の目からみても情報量が少なすぎた点が一番気がかり

■条件③しかし、しっかりと「ノークレーム・ノーリターン」の記載はあった

■条件④先方の購入及び出品履歴より、いわゆる転売系の落札者で、本ケースで落札された商品も修理やメンテナンスを行い、出品をする予定であろうと予想。

■条件⑤破損していたのはヒンジパーツでそれに伴う商品価値の低下および修理費用の増額幅は不明

 

 判例の概要は以下です。

インターネットオークションのサイト 上で(以下「本件サイト」という。),被告により出品されていた本件車両が 開始価格金8000円で出品されているのを見つけ,同月11日,これを金 6万4000円で落札した。 本件車両の購入には,①前記落札代金6万4000円のほか,②搬送費用 及びオークションシステム料等として合計金5万2845円を原告が負担す ることが予定されていたため,原告は,その後,被告に対し,以上の落札代 金,搬送費用及びシステム料等合計金11万6845円を支払った。

本件車両を出品した本件サイトに,本件車両の「写真」を掲示す るとともに,その仕様などを説明文で説明していたほか,次のような「コメ ント」を掲載していた。

① ご覧の通りのアルファ164です。

ⅰ)右,前バンパー,フェンダーに擦り傷があります。それと,

ⅱ)左,前後ドアに薄く10円傷があります。それと,

ⅲ)左,リアドアノブがひびが入っています。しかし,

ⅳ)E/G,ACなど機関は良好です。

ⅴ)気になる電動ファン(オーバーヒート対策)もキッチリと廻りますの で大丈夫です。

②先日(7月1日)にバッテリーを付け替えたところです。

③出品物がお車ですので,それぞれ見方,取り方が違うと思いますので低 年式,中古車だという事にご理解頂ける方のみ入札して下さい。

ご理解 頂けない方の入札,ご遠慮頂けますようお願い致します。

④今日(注7月8日をいう。),昼の暑い時間に乗りましたが,ACは良く 効いておりました。ですが,左Rフェンダーのトランクリッドとの接点 の部分に「小さな塗装剥げ」を見つけました。書き忘れていましたので 現時点の入札者様の取消しご希望,御座いましたら,お受付致しますの で宜しくお願い致します。

ところが,原告が落札後,被告から搬送されてきた本件車両には,本件サ イトで指摘された前記損傷以外の損傷として,

〔1〕ガソリンタンクのガソリン漏れ,

〔2〕センターマフラーの欠落,

〔3〕電動ファンの錆,

〔4〕ショッ クアブソーバーが機能しない,

〔5〕タイヤの劣化,

〔6〕左リアノブが割れ ており,外からドアが開けられない,

〔7〕右ウィンカーの欠落,

〔8〕運転 席ドアがきちんと閉まらないといった損傷があった。

原告は,上記瑕疵により,次の損害を被ったとして,被告に対し以下の項 目の総合計額金76万9245円の損害賠償請求を行った。

 引用元:http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/130917shiryo4-4.pdf

 

この判例の前提を要約するとアルファロメオを相場よりかなり激安で購入できたけど、記載されていたとこ以外で不具合が多すぎ!それは出品者の説明不足だから出品者の責任で落札代金、送料などの費用、修理代金、ついでに慰謝料も払え!」ということです。

ジャンク品とは自動車では商品性質はだいぶ異なりますが、説明不足を瑕疵とする本質は同じです。

それに対して

本件車両が平成2年式の中古品であること,アルファロメオという『名車』でありながら,出品価格が6万4000円と設定されており,その価格が通常の同年式同車種の価格に比べると極めて低廉(下線部本稿執筆者付 加。以下同じ。)であることを十分承知していたものである。

落札後本件車両が搬送されてきて初めて,オークションサイトで指摘がされていなかったいくつかの損傷が存在していることを発見したと主張する。

確かに,損傷の中には,ガソリンタンクからの油漏れなど車両の走行に危 険を及ぼしたり支障をきたしたりする部分もあり,被告がこのことをオークシ ョンサイトで事前に告げなかったことは相当でない。

しかし,一方で,被告は,同じサイトの中で,初心者に対し落札に際しての 一定の注意を促し,むしろ初心者については落札は控えるようにとのコメント を出しているのであるから,初めてオークションに参加する原告としても,低廉な出品価格に照らし,前記のような瑕疵のあることは十分予測し得たはずである。

  引用元:http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/130917shiryo4-4.pdf

 

この判例の一審の判決として

①商品の落札価格が同年式同車種の価格に比較すると「極めて低廉価格」である

②出品者は入札者に注意を喚 起する一定のコメントを説明文の中に折り込んでいる

③中古自動車売買の取引市場では、ある程度の損傷が存在するのは当然のことで、代金額も買受け後の修理の必要性の有無や費用を見込んで決定する取引慣習がある

落札者も本件車両の瑕疵の存在を十分予測可能であったこと等を理由として、出品者の瑕疵担保責任を否定する判断を示しました。

つまり、一審では「おまえも悪い」って言われちゃったんですねw

 

この判例を元にすれば、ジャンク品のケースについても、お前も悪いと言えることになってしまいます。さらには、はじめからノークレームノーリターンとしていたにも関わらず、クレーム入れてきたってことの方がどうなの?ってことです。

 

「おれも悪いのはわかった、でも命に係わる不具合があるんだけど、どうなの?」

として判決の一部を認め、一部を不服として、判例はまだ続きます。

まず、〔2〕センターマフラーの欠落と〔8〕運転席ドアがきちんと閉まらないといった損傷についてです。

中古自動車の売買においては,それまでの使用に伴い,当該自動車に損傷などが生じていることが多く,これを修復して売却する場合はともかく,これを修復しないで売 却する場合には,その修理費用を買主が負担することを見込んで売買代金が決定されるのが一般的であるから,このような場合には,買主が修理代金を負担することが見込まれる範囲の損傷などは,これを当該自動車の瑕疵というのは相当でない。

これを本件についてみると,本件サイトでは,本件損傷そのものについては記載されてないとはいえ,

①それ以外の損傷の存在が明らかにされていて,かつ,

②前提となる事実記載のとおり,初心者に対し,入札に際し て注意を促し,むしろ入札を控えるようにとコメントしていること,

③本 件車両は,オークションでの開始価格が8000円,落札価格が6万40 00円にとどまるところ,年式,車両の状態等によって価格が左右されることを考慮しても,その落札価格は極めて低廉なものであったと解されることなどに照らせば,本件車両は,本件サイトで指摘された損傷以外に修理を要する損傷箇所が存在することも予想された上で開始価格が設定されて出品され,かつ,本件サイトで指摘された損傷以外の損傷が実際にあったとしても,当該損傷は落札者が自ら修理することを予定して落札されたものであったというべきである。

引用元:http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/130917shiryo4-4.pdf

 

マフラーと運転席ドアは7万で買った車なんだから、それくらいはお前が直せと言われてしまったことになります。

しかし、〔1〕ガソリンタンクのガソリン漏れについては判決が逆転します。

 

しかしながら,本件車両は,低年式の中古車であって,損傷箇所が存在するとはいえ,本件サイトにはその走行自体が不可能であるとか,危険を伴うといった記載はなく,却って,走行それ自体には問題がないかのような記載がされていたのである。

その見地から本件損傷〔1〕についてみると,本件車両のガソリンタンクのガソリン漏れは,その程度が相当のものであったと認められ,この認定を妨げるに足りる証拠はないところ,そのようなガソリン漏れが生じている自動車では,引火の危険性などからして安全な走行それ自体が困難であることは明らかであるから,そのような 状態は,本件車両の落札価額の低廉さ,本件サイトの記載を考慮しても前記した予想ないし予定を超える損傷であったといわなければならない。

この点につき,被控訴人は,本件車両の落札価格が極めて低廉であったことから,本件損傷については,一切,被控訴人が責任を負担しないかのように主張する。

しかしながら,少なくとも本件損傷〔1〕については, 本件車両の落札価額の多寡にかかわらず,自動車としての走行それ自体に危険をもたらせるものであって,被控訴人においても,ガソリンタンクのガソリン漏れを発見していたのであれば,本件サイトにその旨を明記して おいて当然というべき損傷であって,被控訴人の主張は,本件損傷〔1〕 に限っては,これを採用することができない。

したがって,本件損傷のうち,少なくとも本件損傷〔1〕は,民法57 0条の「瑕疵」に当たるところ,当該瑕疵は,本件サイトにも記載されず, 被控訴人から説明もされていないものであったから,民法570条の「隠 レタル」瑕疵に当たることも明らかである。

引用元:http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/130917shiryo4-4.pdf

 

 

さすがにガソリンタンクのガソリン漏れは命に係わるので容認できない範囲ってことで、ガソリン漏れに関してだけは出品者に責任があるとしていますが、根本的な落札者の主張である返金及び送料、修理費用、慰謝料については、認められていません。

ガソリンタンクの修理費用は相場として3万円が妥当であり、修理、交換のみ命じられています。

 

つまり、友人のジャンク品出品の場合は、条件①より相場より安い金額で落札できている点、条件④より使用が目的でなく、販売が目的である可能性が高い点からもヒンジパーツの修理費用か同等の物の交換くらいが妥当な交渉で、NN特約の有効範囲内であると考えられます。

それ以上の要求は、最悪の場合、「恐喝」に相当する場合があります。ご注意ください。

 

まとめ

 

 色々な角度から分析を行い、感情的にでなく、冷静に対応することがやはり大事です。

 

よく見かける、「詐欺だ!」「被害届!」「消費者センター!」など権力を盾に相手を威圧するのは、よりよい交渉はできませんし、相手を委縮させることになります。

 

例え、あなたが正しいとしても、事情のわからない第三者からみたら、あなたはただのクレーマーに映ってしまうかもしれません。

また、相手からあなたの心象を著しく損ない、上がる評価も上がらなくなってしまいますので、その点は覚悟が必要です。

 

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